植物病理学は植物の病気に関する学問で、農作物や樹木、その他の植物の病気について、病原体の診断や伝染方法、植物との相互作用などを研究対象としています。また、病気に強い植物の開発や、病気を防ぐ方法の開発も行われています。このように植物病理学は食料や木材の生産に大きく貢献するだけでなく、分子生物学や植物バイオテクノロジーなどの基礎科学の発展にも寄与してきました。

植物の病気についての記述は古くから存在し、旧約聖書や万葉集にもその痕跡が見られます。現代の植物病理学は、1861年にドイツのA. de Baryがジャガイモの病気を発見したことで始まりました。世界初の植物病理学会は1891年にオランダで設立され、日本では1916年に日本植物病理学会が創設されました。日本植物病理学会には現在約1700人の会員が在籍しており、我が国における産(企業など)・官(国や都道府県の研究機関)・学(大学など)の研究交流のプラットフォームとして、植物病理学の進歩と普及を目指して活動しています。